製造業の業務領域のなかで、メンテナンスや修理、消耗品の販売などのアフターサービスは、販売部門のおまけのような存在と捉えられがちです。しかし、市場環境の変化が激しくモノが売れない時代といわれるなかで、アフターマーケットこそ重要視され始めています。
こんな課題はありませんか?
アフターセールスとは
我々が考えるアフターセールスサービスの定義は、既存顧客に対して製品を販売したあとの製品の整備や部品販売、顧客へのアフターフォロー活動を示します。
アフターセールスサービスの主な内容としては、以下のような対応が挙げられます。
1.顧客からの問い合わせやクレーム対応:顧客からの質問や不満に対しての対応
2.製品の設置・組み立てサービス :新しい製品の設置や組み立ての支援
3.製品の返品や修理・交換対応 :故障や不具合があった場合の修理サービスを提供
4.定期メンテナンス・消耗部品交換対応:製品の状態を保つためのアップデートや、長期的な使用をサポートするための定期的なメンテナンス
アフターセールスに注目すべき主な理由
アフターセールスは、製品を販売したあとに付随的に発生するコストセンターのような位置づけでしたが、近年では、 顧客満足度の向上やコスト削減、効率的な問題解決など、多くのメリットを提供するものという認識に移りかわってきています。価格以外の競争力を高めるうえでアフターマーケットは重要な役割を果たします。
アフターセールスに注目すべき主な理由を2つご紹介します。
製品・サービスの差別化
類似製品やサービスが溢れてコモディティ化が進む中で、協業他社との差別化が必要になってきています。差別化の一つとして有用なのは、優れたアフターセールス領域の提供です。価格帯や内容が同じような製品・サービスを比較する場合、売り切りではなく購入後のアフターセールスにより顧客ニーズを満たすことができる製品を選択するのは必然です。
顧客との接点の最前線
フィールドサービスの部隊は、購入した顧客からの問合せで現地対応するなど、顧客接点の最前線にいることで顧客の今のニーズを把握でき、ジャストインタイムでアップセルやクロスセルの提案ができる営業部隊になりえる可能性を秘めているのです。
アフターセールス領域のあるべき姿
アフターセールス領域での目指すべきところは、優れたアフターセールスを提供し、顧客満足度を向上させ、顧客生涯価値を最大化していくことです。顧客生涯価値の最大化には、特に下記の3点に力を入れていく必要があります。
- スマートプロダクト化により、出荷した機器の稼働状況データからコンディションベースメンテナンス(CBM)による予防保全を実現する
- ジャストインタイムの対応で顧客満足度を高めることで、顧客生涯価値を高めていき、リピートやアップセル、クロスセルを実現していく
- 稼働時間や性能を保証するような性能規定型のサブスクリプションサービス等によるモノからコトへシフトしていく
フレームワーク
あるべき姿にするためのプロセスとそれによりもたらされる効果
アフターサービスを実現するため、それぞれのプロセスに必要な要素を満たすことで以下のような効果が得られます。
アフターセールス導入によりもたらされる効果
NSWのアフターセールスにより、具体的に以下のような効果を期待できます。
リアルタイムデータの活用
- NSWのアフターセールスサービスは、IoTセンサーを活用して製品の稼働状況をリアルタイムでモニタリングすることにより、異常や故障を早期発見できます。
- 収集したデータを解析し、故障の予兆を検出して予知保全を行います。ダウンタイムを最小限に抑え、製品の寿命を延ばすことが可能です。
遠隔監視とリモートサポート
- 遠隔から設備の状態を監視し、必要に応じてリモートでトラブルシューティングやメンテナンスを行うことで、現地に技術者を派遣する手間とコストを削減します。
- リアルタイムでの監視とリモートサポートにより、問題が発生した際に迅速に対応できるため、ダウンタイムを最小限に抑えることが可能です。
作業指示とスケジューリングの最適化
- AIを活用して技術者のスケジュールや作業指示を最適化し、リソースの効率的な活用と迅速な対応を実現します。
- 自動化されたプロセスにより、メンテナンス作業のスケジューリングや進捗管理を自動化することで、管理業務の負担を軽減し作業の効率化を図れます。
アフターセールスに必要な機能ステップ
NSWのアフターセールスは、スマートプロダクトとスマートメンテナンスで構成されています。
■スマートプロダクト
IoTによる見える化およびAIを使ったデータ活用を実施
■スマートメンテナンス
現場でトラブルが起きた場合に、遠隔でトラブル対応および現地作業をスムーズに行うための現場対応を実施
スマートプロダクトとスマートメンテナンスは、スマートフィールドサービスで一元管理します。
NSWはアフターセールス実現のために必要な一連のステップを伴走支援します。
アフターセールスに必要な機能ステップ
ユースケース
大手自動車部品メーカー
抱えていた課題
生産設備の故障によるダウンタイムが生産効率に大きな影響を与えていたため、予防保全や迅速な対応が必要でした。
ソリューション
- 設備にセンサーを設置し、Toamiによりリアルタイムでデータを収集・可視化
- ToamiAnalyticsを使って異常を早期に検出し、予防保全を実施
- 故障が発生した場合には、TeamViewer IoTによる迅速なリモートサポートにより対応
- Field Service Managementによる故障箇所の部品管理も実施
結果
予防保全によって設備の故障を未然に防ぎ、ダウンタイムを大幅に削減しました。生産設備の稼働率が20%向上し、ダウンタイムが30%削減されました。その結果、生産性が向上し、メンテナンスコストが削減されました。
大手産業用機器メーカー
抱えていた課題
製造した設備の故障が発生すると、現地へ赴き、設備の様子を確認したあとにその後の対応を検討する必要がありました。何度も複数人で現地へ行くため、人件費などのコストや工数がかかっていました。また、トラブル解決まで時間がかかっており、顧客満足度の低下につながっていました。
ソリューション
- Toamiによって現場の設備に設置したセンサーからデータを収集・見える化
- Field Service Managementによる故障箇所の部品管理
- RealWearの導入により、現場作業を効率的に実施
結果
故障が発生した場合には、代表者1名が現地へ行きRealWearでオフィスにいる熟練者と現地の情報を共有し、リアルタイムに指示をもらいながら作業を行えるため、オフィスにいる熟練者との認識の齟齬がなくなりました。また、部品管理も行っていたため、1度目の訪問の際、必要部品をそろえて現地へ向かうことができます。その結果、トラブル解決までの時間が50%削減でき、顧客満足度が向上しました。
関連リンク
アフターセールスのコラムも合わせてご覧ください