地球温暖化の影響で夏の暑さが増しており、特に都市部ではヒートアイランド現象により夜間も気温が下がりにくくなっているため、熱中症のリスクが高まっています。
本コラムでは、教育機関と医療機関に特化した原因や課題、解決策について考えてみます。
熱中症とは
熱中症とは、高温多湿な環境に長時間いることで体温が上昇し、体温調節機能がうまく働かず、体内に熱がこもる状態のことを指します。
建設業や農業といった屋外作業者だけではなく、屋内で何もしていない時でも発症することがあります。
教育機関や医療機関では、子どもや高齢者などの環境への適応力が弱い方、自己管理にサポートが必要な方の熱中症リスクが高いとされており、管理の必要性を感じさせます。
しかし、職員が全員の体調を気にかけることは困難であり、また管理者の立場である職員自身の熱中症を予防するためにも、指標となるデータが必要になると考えます。
熱中症は重症化すると取り返しがつかなくなる可能性のある健康障害ですが、正しい知識や指標になる数値・データを活用することで、発症を防ぎ救済につながります。
学校や医療現場に務める職員、子どもや高齢者の安全を守り、健康的な環境を維持するためにも、熱中症対策は急務といえるでしょう。
熱中症が起きる原因・課題
教育機関における原因・課題
幼稚園や学校では、体育の授業や運動会、室内・屋内で遊ぶ時間が多くあります。
管理者が不足している環境下において、子どもたち全員の体調管理には目が行き届いていない現状です。
また子ども自身が熱中症のリスクを理解していないのが現状です。水分補給や休憩を忘れることや、エアコンのない教室や運動場で活動してしまうことがあります。
管理者が授業や遊ぶ環境自体の暑さ指数を把握すること、子ども自身が熱中症に対する意識を高めることが求められます。
医療機関における原因・課題
医療現場・介護現場では、職員ではなく高齢者自身が独自で判断をすることで熱中症のリスクを高めています。
例えばエアコンを付けていても風が当たる不快感から自己判断で電源を切ってしまうことや、喉が乾かないからと水分補給を拒むことなどがあります。
管理者が現場環境の温度状況を把握することはもちろん、高齢者自身が室内の温度を把握することや水分補給のタイミングを理解することで、熱中症のリスク低下につながります。
熱中症対策にはIoTが活用できる!
管理者の目が十分に行き届かない環境でも、管理者が状況を把握をするために使えるのがIoTソリューションです。
例えばIoT温度センサーやウェアラブルデバイスを活用することで、取得した環境の温度や湿度、WBGT値の情報を管理者がモニタリング画面で確認することができます。一定の基準を超えた際に発動するアラート通知機能や、ウェアラブルデバイスの振動等により、危険を通知することで熱中症を防ぐことができます。
IoTソリューションの種類として、スマートウォッチ、インナーウェア、アプリケーション、センサーなどがあります。
IoTソリューションによって得られる効果
教育機関における効果
1.管理者側が休憩を促す指標に使うことで、熱中症のリスクを減らす
体育の授業や放課後の遊ぶ時間、部活などをする前に、暑さ指数や体育館の温度を確認することで、危険値の場合に活動内容の変更ができます。
またこまめに休憩を取ることや、適度な水分補給を指示するための管理者側の指標となり、管理が容易になります。
2.子ども自身に暑さ指数を見せることで、熱中症を意識させる
運動部や遊んでいる児童・生徒自身が、暑さ指数や温度がすぐに分かる画面があることで、熱中症に対する意識を高めることができます。
熱中症に対する高い意識により、発症しにくい環境づくりをすることで、保護者にとっての安心感にもつながります。
3.熱中症が発症しやすい時間・場所を特定できる
収集した過去のデータから、熱中症が発症しやすい時間や場所を見つけることができます。
時間帯に応じて出入禁止にしたり、予防・改善策に役立つ記録・報告にも使用いただけます。
医療機関における効果
1.環境に合わせたタイムスケジュールが組める
各種施設・季節別に温度を取得しデータの分析をすることで、介護作業やリハビリ前に適したタイミングおよび部屋の温度調節ができます。
暑さ指数や室内の温度を確認し、危険値を上回っている場合は中止したり、時間を変更したりできます。
2.一人暮らしの方の安全確保ができる
ホームヘルパーや訪問看護を必要とする方の自宅にセンサーを設置することで、室内の温度管理が行えます。
室内が危険な状態であればアラート通知機能等で危険信号をキャッチできるため、すぐに訪問を行い、万が一の事態を防ぐことができます。
熱中症対策ソリューションの紹介
当社では熱中症対策に使えるサービス
“AroundNow!“と”AroundNow!Mobile“を提供しています。
複数のセンサーを用いたデータ取得・可視化をすることで、設置場所周辺の環境状態をリアルタイムで確認できるサービスです。
温度・湿度・暑さ指数(WBGT値)などの数値データはクラウドに連携され、PCやスマートフォンといった様々なデバイスからアクセスできます。
熱中症やインフルエンザ、コロナ感染症の対策・防止する指標として、ご利用いただけます。
Around Now!とAround Now!Mobileのちがい
■特徴
・複数センサーのデータ取得が可能
・インフルエンザやコロナなどの感染症対策にも活用
・ブラウザ経由でデータの可視化
■センサーの種類
温度・湿度・WBGT値・照度・UV・気圧・騒音・CO2
■設置場所
■特徴
・据え置き型ではなく、センサーを持ち運んで利用
・スマートフォンの通信回線を利用してデータをアップロード
・専用のスマートフォンアプリからデータを閲覧
■センサーの種類
温度・湿度・WBGT値
■利用者
ユースケース
幼稚園・学校の場合
■運動場・体育館・屋内プールに設置(AroundNow!)
屋外の運動場や体育館、屋内プールにセンサーを設置し、環境に合った授業・部活動を行えます。
学校の部活動や授業の際に暑さ指数を確認することで、部活動の実施・中止の判断に活用できます。
■運動時における職員・管理者が常時監視(AroundNow!Mobile)
学校の職員や管理者、運動部の顧問や生徒会役員などが、いつでも場所を問わずスマートフォンで暑さ指数の確認をすることで、即時に授業や部活動などの取り組みを中止させることができます。
医療・介護現場の場合
■入浴室やリハビリ室に設置(AroundNow!)
患者が滞在する部屋や施設内にセンサーを設置することで、介護士やリハビリスタッフがスマートフォンの監視画面から都度、環境状態の確認が行えます。
利用直前や利用中でも、室内にいる患者全員の健康を守ることにつながります。
■医療現場・介護現場の職員自身に装着(AroundNow!Mobile)
患者と一緒に行動をする職員自身に装着することで、ともに行動をしている患者の安全確保ができます。
異常がある場合はスマートフォンに即座に通知が来るため、すぐに駆け付けることができます。
大型イベントの場合
■屋内の大型スポーツ祭典(AroundNow!)
屋内で行われるスポーツの観客に対して、大型モニターから熱中症の呼びかけができます。
観客がいる座席付近、熱がこもりやすく観客が滞在する場所などにセンサーを設置します。
■夏祭り会場(AroundNow!Mobile)
会場スタッフや誘導係・警備員などにセンサーを持たせることで、スタッフ自身と周囲のお客様に熱中症リスクを呼びかけることができます。
スタッフ周辺の暑さ指数が高い場合は、交代をして休息を促すことに活用できます。
まとめ
教育機関や医療機関では、子どもや高齢者の安全を守ること、健康的な環境を維持するためにも、熱中症対策を検討しませんか?
熱中症の予防と対策においては、環境における暑さ指数を計測し、必要に応じてアラートやアドバイスを提供することで、体調管理の困難な状況に効果的に対処することができます。
熱中症対策は、早めの準備が必要です。
暑さが本格化する前に、ぜひIoTソリューションを活用して、熱中症のリスクを最小限に抑えてみてはいかがでしょうか。