流通サプライチェーンにおける
マスタデータマネジメントの本質
データマネジメント

企業競争力の向上には製品やサービスだけでなく、正確で統一されたデータが不可欠です。しかし情報が複数システムに分散し整合性を欠くことで、業務効率や意思決定に深刻な影響を及ぼします。これを解決するのがマスタデータマネジメント(MDM)であり、唯一の正しい情報源を確立し、データの信頼性と活用価値を最大化します。本コラムでは、MDMの本質と価値、導入の考え方、さらに実践的ワークショップをご紹介します。

目次

    はじめに:マスタデータとは・・・

    企業の競争力を維持・向上させるには、優れた製品やサービスだけでなく、正確かつ一貫性のあるデータが不可欠です。しかし現実には、顧客や商品情報が複数のシステムに散在し、データの不整合が業務効率や迅速な意思決定を阻害するケースが少なくありません。
    こうした状況は、具体的に次のような深刻な問題を引き起こします。

    ・在庫情報の不一致による販売機会の損失
    ・価格情報の齟齬によるクレーム増加
    ・データ活用基盤の不整備によるDX推進の停滞

    特に、顧客・製品・取引先などの基盤となる「マスタデータ」の整合性は、業務運営の根幹を支えるものです。ここに不備があると、同一顧客の二重登録や商品コードの乱立を招き、現場に多大なコストと混乱を強いることになります。
    これらの課題を根本から解決する仕組みが、マスタデータマネジメント(MDM)です。MDMによって企業全体で「唯一の正しい情報源(Single Source of Truth)」を確立することで、データの信頼性を担保し、ビジネス価値を最大化することが可能になります。

    MDMがもたらす4つの価値

    MDMは、分散したマスタ情報を統合・整備し、信頼できるデータ基盤を構築します。
    そこから生まれるのが、次の4つの価値です。

    CXの強化
    顧客理解の精度向上とパーソナライズの進化
    意思決定の迅速化と精度確保
    信頼できる数字で経営ダッシュボードを高度化
    オペレーションの最適化
    製品・取引先マスタの整合性による無駄の削減
    コンプライアンス/監査強化
    コード統一、履歴管理、アクセス統制の徹底

    マスタ管理のコアコンセプト

    マスタ管理のコアコンセプトは企業全体でデータの信頼性と活用価値を最大化するための包括的な枠組みです。その中心にあるのがSingle Source of Truth(SSOT)であり顧客・製品・取引先などの重要情報を唯一の正しい情報源として統合します。
    このマスタ管理のコアコンセプトは7つの要素で構成されており、これらを軸に企業のデータ戦略を支える基盤を築いていきます。

    マスタ管理のコアコンセプト

    SSOT

    マスタの一元管理
    組織全体で共通して使用されるマスタデータ(顧客・製品・取引先など)を一元管理。

    データ品質の向上
    重複や誤記を排除し正確なデータを維持。
    標準化とクレンジングを徹底。

    ガバナンスと責任の明確化
    データ責任者を明確化し、更新ルールを定義。監査・コンプライアンス対応を強化。

    統合と連携
    ERP/CRM/SCMなどと連携しマスタを統合的に管理。APIやETLでデータ連携を効率化。

    柔軟性と拡張性
    変化に応じて構造や管理方法を柔軟に設計。属性・分類を容易に追加可能。

    セキュリティとアクセス制御
    権限を適切に設定し漏洩や不正アクセスを抑止。ロールベースのアクセス管理が一般的。

    ライフサイクル管理
    登録・更新・廃止のプロセス管理と
    古いデータの整理対応。

    Stibo Systems社とのイベント開催

    「新たな形でつながる、変化に強いサプライチェーン改革」

    10月29日、MDM領域で世界的に評価されるStibo Systems社との協働により、流通サプライチェーンにかかわる業界の皆様を対象に、商品マスタデータ活用による未来像を共有し時代を読み次代のヒントについて議論を深めるセッションおよびラウンドテーブルを開催しました。

    本イベントは多様な企業様にご参加いただき、
    ・各社におけるマスタデータ活用の現状と課題
    ・未来に向けたあるべき姿
    について活発な意見交換が行われました。

    業界横断での知見共有により、サプライチェーン改革に向けた新たな視点を得る有意義な場となりました。

    イベント登壇の様子

    2025年10月29日開催
    Stibo Systemsとの協賛ラウンドテーブル
    登壇者:鈴木輝亮(NSW株式会社)
    イベントで明らかになったマスタ管理に関する共通課題
    1. 手入力や属人化した運用が残り、マニュアル未整備のままイレギュラオペレーションが常態化しているため、入力ミスや例外対応によるミスが多発している
    2. マスタがシステム・部門・ツールごとに分散・重複して管理されており、同一商品で複数マスタを保持する状態となっているため、正しい情報が分からず一元管理できていない
    3. データ自体は存在するものの、同一商品がチャネルごとに異なる商品名で複数マスタに登録されているため、横断的な集計や分析ができず、意思決定に活用できない構造となっている
    4. ガバナンスの不足、グループ会社と共有ができていない

    参加者の業界内訳(円グラフ)

    ワークショップのご案内

    最後に、ワークショップのご案内です。
    今回のセッションで明らかになったのは、データ活用の成功には、整理されたデータの価値を組織全体で理解し、その意義について共通認識を持つことが不可欠だという点です。しかし、共通認識は言葉だけでは形成できません。具体的な形に落とし込み、議論の起点となる資料が必要です。本ワークショップでは、DMBOKの体系的な整理手法とAIの発想を融合し、社内課題を「伝わる企画書」へと落とし込む実践的なステップをご提供します。
    この機会に、データ活用をより戦略的なステージへ進めてみませんか。

    【こんなことで困っていませんか?】
    • 社内に分散しているデータを統合したい
    • AIで業務効率化を図りたい
    • データ基盤が活用出来ていない
    • データ活用がうまくいっていない

    【ワークショップで得られること】
    • 自社課題の整理と可視化
    • 説得力ある企画書の原案作成
    • DX推進の実行プラン策定
    • 専門家からのレビューとアドバイス

    TOPコラム流通サプライチェーンにおけるマスタデータマネジメントの本質
    CONTACT US
    まずはお問い合わせください。
    お客様にあった最適なソリューションを
    ご提案させて頂きます。
    お問い合わせ