日本国内において、夏の気温は年々上昇しており、毎年暑さによる熱中症事故が絶えません。
本コラムでは、製造業と建設業に特化した原因や課題、そして解決策について考えます。
熱中症とは
熱中症とは、高温多湿な環境に長時間いることで体温が上昇し、体温調節機能がうまく働かず、体内に熱がこもる状態のことを指します。
製造業や建設業では、労働環境の特性から熱中症のリスクが高いといわれています。作業遅延を避けるための長時間労働を強いられる現場も少なくありません。
現場作業員が安全かつ健康的な労働環境で働けるようにするためには、日常的な健康チェックが欠かせません。朝礼での体調確認や作業中における監督者の見回り、適度な水分補給や休憩時間の確保などが日々行われています。
しかし、日常的な健康チェックを行っていても、体調不良者の発見が遅れてしまうこともあります。作業員には自分自身の体調の適切な把握ができるようにすること、また監督者には快適な労働環境への改善が求められています。
熱中症は、適切な予防策と早期対応により防ぐことが可能です。
熱中症予防のためのガイドラインや教育を徹底することで、作業員の安全と健康を守り、効率的で持続可能な労働環境が目指せます。
熱中症が起きる原因・課題
1. 高温多湿な環境での作業
製造現場
大型機械や設備から発生する熱により作業場の温度が上昇します。特に、金属加工や鋳造などの作業現場では温度が非常に高くなります。
換気・空調設備を導入することで、高温の空気や熱気を排出し、新鮮な空気を供給でき、また冷房機能により快適な作業現場が実現します。
建設現場
粉塵・ゴミの飛散防止や騒音緩和を目的とした養生シートの使用により、作業現場の内部温度が上昇します。
養生シートの設置場所や使用目的に応じて、シートの色や素材の変更および換気・クーリングシステムの導入で高温化を防止できます。
2. 重労働が多い
製造現場
大型の部品や資材を運搬するため、肉体的な負担がかかります。また機械の設定・操縦・メンテナンスでは精神的な集中力も求められます。
作業分担や人の手のみに頼るのではなく自動化が図れる部分はIT技術の活用をすることで、1人の負担を軽減することにつながります。
建設現場
土木作業、配管工事、鉄筋の組立・配筋、コンクリートの打設、建材の搬入、足場の組立、解体作業などの各工程で重労働が行われています。
適切な休憩時間の確保をすること、管理者が作業員に対して休息を促す姿勢が必要になります。
3. 防護服を着用する
溶接や醸造作業、研磨作業や塗装作業などでは、防護服と合わせて防護手袋・防塵防毒マスク・ゴーグルなどを着用します。
昨今ではファンが取り付けられた防護服や、防護服の下に着用する冷却ベストがあります。
冷却効果のある服と組み合わせることで、体温を効率よく下げることができます。
4. 水分補給を忘れる
スケジュール遅延を発生させないためにも、作業に集中をしてしまい水分補給や休憩を取ることが疎かになってしまう場合があります。
管理者や現場監督者が作業進捗状況を適切に把握すること、作業員の体調管理を行うことで、休憩タイミングを見計らうことができます。
5. 管理者の管理不足
現場の管理者や監督が、作業員の状況・状態の把握が行えないことから、熱中症を発生させるケースが多くあります。
管理者の目が行き届かない現場でも、作業員が自分自身の状態を把握できることが重要です。
熱中症対策にはIoTが活用できる!
管理者の目が十分に行き届かない環境でも、管理者が状況を把握する時に使えるのがIoTソリューションです。
例えばIoT温度センサーやウェアラブルデバイスを活用することで、取得した環境温度や湿度、WBGT値の情報を管理者がモニタリング画面で確認することができます。一定の基準を超えた際に発動するアラート通知機能や、ウェアラブル本体の振動等により、危険を通知することで熱中症を防ぐことができます。
IoTソリューションの種類として、スマートウォッチ、インナーウェア、アプリケーション、センサーなどがあります。
IoTソリューションにより得られる効果
1.管理者側が休憩を促す指標に使うことで、熱中症のリスクを減らす
工場内や作業員の状態をリアルタイム監視することで、危険な状況が発生した際のアラート通知により、作業員に休憩を促すことができます。
体感温度が取得できるWBGT値によって、適度な休憩・水分補給を指示するための管理者側の指標となり、管理が容易になります。
2.作業員のリアルタイムな状態を把握することで、作業員の安全管理を強化
熱中症を引き起こしやすい場所・時間帯・人物の特定ができることで、作業時間の調整や頻繁に休憩を取る指示など、適切な安全対策ができます。
3.環境データの分析により最適な作業環境づくりが実現し、生産性が向上
取得できる環境データから作業時間の短縮や作業場所・配置の変更など、作業員の安全確保と作業効率を向上させることができます。
温度や湿度などの環境データを収集・分析することで、管理者が最適な作業計画を組むことができます。
熱中症対策ソリューションの紹介
“Around Now!“と”AroundNow! Mobile“を提供しています。
複数のセンサーを用いたデータ取得・可視化をすることで、設置場所周辺の環境状態をリアルタイムで確認できるサービスです。
温度・湿度・暑さ指数(WBGT値)などの数値データはクラウドに連携されることで、PCやスマートフォンといった様々なデバイスからアクセスできます。
熱中症やインフルエンザ、コロナ感染症の対策・防止の指標として、ご利用いただけます。
Around Now! とAround Now! Mobileのちがい
■特徴
・複数センサーのデータ取得が可能
・インフルエンザやコロナなどの感染症対策にも活用
・ブラウザ経由でデータの可視化
■センサーの種類
温度・湿度・WBGT値・照度・UV・気圧・騒音・CO2
■設置場所
■特徴
・据え置き型ではなく、センサーを持ち運んで利用
・スマートフォンの通信回線を利用してデータをアップロード
・専用のスマートフォンアプリからデータを閲覧
■センサーの種類
温度・湿度・WBGT値
■利用者
ユースケース
製造業の場合
■熱を発する作業環境に設置(Around Now!)
工場内では熱を発する作業工程として金属加工や鋳造などがあり、工場内の温度が高まる原因となっています。作業現場付近に環境センサーを設置することで熱中症リスクを把握することができ、こまめな換気や、空調の設置など、熱中症対策の検討ができます。
■防護服着用中の作業の監視(Around Now! Mobile)
有害化学物質を扱う現場、熱や炎を扱う現場など危険な作業を伴う現場においては、防護服・防護手袋・マスクの着用が求められます。
防護服内の環境データを取得し、作業員の状態監視をすることで、現場監督者が作業者に対して休息を促すことができるため、熱中症のリスクを下げることにつながります。
建設業の場合
■屋外の建設作業現場に設置(Around Now!)
密閉されたビニールシート内や建設現場付近の屋外に設置することで、特定の場所の環境データを一括で把握できます。
暑さ指数から屋外作業の継続・中止の判断に活用できます。
■建設現場の作業員自身に装着(Around Now! Mobile)
作業員自身にセンサーを装着することで、移動してもその時々の環境データを取得することができます。
また、作業監督者はアプリを通じて作業員の活動状況をモニタリングすることで、作業状況が可視化され、生産性の向上や作業プロセスの改善活動にも役立てることができます。
まとめ
製造業や建設業における熱中症の予防と対策において、暑さ指数を計測し、必要に応じてアラートやアドバイスを提供することで、体調管理の困難な状況に効果的に対処することができます。 働く人々の健康と安全を守るために、少しでも早く熱中症対策に取り組みましょう。
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