「高度に情報処理するマシンインターフェースとして最も適した方法が、ボタンや画面を何度も叩くことではないことは明らかです」
「人類のボトルネックは、人間と機械の間にある情報伝達速度にあると私は考えてます」
産業用スマートグラスのRealWearから新製品「Arc 3」が発売! CEO語るスマートグラスの未来とは━━

2025年11月27日(木)に開催された、RealWear社の新製品ローンチイベント「ARMAZING TOKYO」。同年1月に同社CEOに就任したセバスチャン・ベーツェン(Sebastian Beetschen)氏が来日し、これまでのスマートグラスとは異なるコンセプトで作られた、RealWear Arc 3の狙いと展望について語りました。
RealWear社CEO、セバスチャン・ベーツェン氏は、まず初めに道具(ツール)の起源を紹介し、そこから人体の普遍性と現代の代表的なインターフェースツールである「キーボード」の複雑さを比較して、現代社会におけるツールがどのようにあるべきかを指摘しました。
「高度に情報処理するマシンインターフェースとして最も適した方法が、ボタンや画面を何度も叩くことではないことは明らかです」
「人類のボトルネックは、人間と機械の間にある情報伝達速度にあると私は考えてます」
実際、現代社会で処理しなければいけない情報は非常に複雑化し、同じようにそれを扱う道具(ツール)もより複雑で知的なコンピューターへと変容しています。昨今、目覚ましい発展を見せている対話型AIツールにおいても、その利用者の多くが、自身の考えを文章で円滑に伝えることの煩わしさを実感していることだと思います。
ベーツェン氏は、キーボードやタッチ操作といったヒューマンマシンインターフェースの持つボトルネックに着目し、「音声ファースト(Voice-First)」インターフェースの重要性を主張したのです。
「”声”による操作は、より自然でスループットもはるかに高く、理にかなっています」
「(これが)私たちが音声ファースト(Voice-First)のAR*ヘッドセットを開発する理由です」
*補助現実(Assisted Reality)という意味で使われており、拡張現実(Augmented Reality)よりも、実際に目に見えているモノに重点を置いた技術。
RealWear日本カントリーマネージャー、伊藤 信 氏は、これまで考えていたスマートグラスのマーケティング方法を省みて、RealWearの使われるべき状況、他のスマートデバイスと差別化すべき方針を明確に示しました。
それは、その他のスマートデバイスと競合するのではなく、一つの選択肢として共存する、まさに”産業用”ゆえに導き出せる答えでした。
「スマホやタブレットが使える状況なら、それを使えばいいのです」
「スマートフォンがすぐには使えない状況でこそ、RealWearは真価を発揮します」
明確に示された方針は、アプローチすべき領域をはっきりと浮かび上がらせました。
事実として、スマートフォン1つ開いている余裕もない現場仕事は、決して少なくはありません。そうした状況でこそ、音声ファーストのAR(補助現実)ヘッドセットであるRealWearは輝くのです。
ベーツェン氏は、これまでのRealWearでは十分に訴求できなかった、Arc 3だからこそ根ざせる分野を述べました。
「従来のRealWearでは参入課題のあった、まったく新しい階層分野が開拓されつつあります」
「常に充電され、いつどこでも、そして簡単に使用できるような、そんなデバイスを必要とする分野です」
これまでRealWearは、安全性や頑丈さを前面に押し出したスマートグラスを作ることで、石油・ガス製造業や建設業といった物理的な危険の伴う業界へと強く訴求してきました。
一方、今回発売されたRealWear Arc 3では「より快適に、より使いやすく、最高の映像品質」をコンセプトにすることで、従来のRealWear製品とは異なる領域にもスコープを広げることが可能になったのです。
それはヘルスケア業界のような、より繊細な迅速性・専門性を必要とする業界です。
「医療業界からは、高齢者介護用のものを作って欲しいという要望をかなり多くいただきました」
「高齢者の自宅を訪問した後、問題が発生したらすぐに医師を(Arc 3で)呼んで、専門的な助けを得ることができるのです」
ベーツェン氏はポケットからArc 3をサッと取り出すと、これを“デジタル消火器“と例えました。
すぐに手に取って専門家と繋がり、現場の状況を鮮明なカメラで共有できるArc 3は、不安を抱える初学者にとって手放せないデバイスとなります。
「データセンターや工場内で作業するすべての人に専門的なトレーニングをする必要はありません。問題が発生したときは誰もがこれを手に取って、専門家から支援を受けることができるのです」
ヘルスケア業界だけでなく、物流在庫管理やデータセンター監視業務など、トレーニングが十分でない現場作業員が急遽専門性の高い対応を行わなければならない状況は、人手不足の深刻化した日本においても珍しい状況ではなくなっています。
こうした分野において、RealWear Arc 3はデジタル消火器となって、現地訪問・属人化・人手不足などの問題を解決してくれるのです。
RealWear Arc 3に施された様々な工夫が、「より快適に、より使いやすく、最高の映像品質」というコンセプトを体現しています。
これまでのスマートグラスにはなかった、革新的な機能の数々をご紹介します。
シースルーディスプレイは作業の妨げにならず、また、従来のRealWearよりも大幅に性能が向上したフルHD解像度の有機ELディスプレイを搭載し、より鮮明に状況を把握することができます。
カメラにはデュアルカメラシステムを採用しており、120°の超広角カメラと、細部までにズーム可能な50メガピクセルのセカンダリカメラで、人間の視界に近い正確な情報を伝えることができます。
最軽量の179gかつポケットに入るほどのコンパクトさを実現、また、ヘッドバンドやパッドなど皮膚に触れる箇所は簡単に交換・取り外しが可能で衛生的です。
4つの高性能マイクと指向性アルゴリズムを内蔵。騒音の多い環境でも周囲のノイズを除去し、デバイスへの音声コマンドを正確に認識します。
新オペレーティングシステム『Ari OS』を搭載。Ari OSは単なる音声コマンド実行に留まらず、ユーザーの意図を理解しながらアシストしてくれるAIアシスタントとなって、アプリの起動、通話発信、設定変更といった一連の動作を完全にハンズフリーで、かつ瞬時に行うことができるようになります。
専用充電ドック『Arc Base』が、常にいつでもArc 3を使える状態に保ちます。Arc Baseは棚の上でも、壁に取り付けることもでき、Arc3を必要とする人が、いつでもどこでもすぐに手に取れるようになります。
ベーツェン氏は講演の最後に、これからの6か月間でRealWearエコシステムが達成しようとしている3つの目標、その展望について語りました。
「これからの6か月、私たちには3つの目標があります」
「1つ目は、手を塞がずに専門知識を伝える必要のあるすべての作業員にArc 3を届けたいと考えています。そして、そこからフィードバックを得て、改善していきたいとも思っています」
「2つ目は、ソフトウェアパートナーとの連携を密接にすることでソフトとハードを非常に上手く統合させて、ユーザーへ提供したいと考えています。そうすることで、ユーザーが実際に製品を手に取ったとき、ソフトまで含めて一つのスマートグラスだと感じられるようになるでしょう」
「そして3つ目は、インターフェースのボトルネック、つまり人間と機械の間にある情報伝達速度のボトルネックを解消することです」
「これらの目標を達成するには、パートナーも含めた私たち全員が協力して実現しなければなりません」
2025年12月時点ですでに、RealWearは世界中に270社を超えるソフトウェアパートナーと、800社を超える登録販売者が存在しています。ベーツェン氏は、AR(補助現実)分野の専門家にとって最高のエコシステムが備わっていると言います。
ARスマートグラスの進化はRealWearだけのものではありません。RealWear Arc 3は単なるデバイスではなく、世界規模のエコシステムの一部になっています。多くのソフトウェアパートナー、販売ネットワーク、この広がりが、産業の未来をさらに加速させていくのです。
手を塞がずに専門知識を届ける━━このシンプルな理念が、RealWearを産業用スマートグラスとして確立させています。RealWearは現場に寄り添いながら、次のインターフェース革命を牽引していきます。もしあなたの現場にスマートフォンでは対応できない課題があるなら、RealWear Arc 3はその答えになるかもしれません。あなたもエコシステムの一員となって、未来の働き方を体験してみてください。
*写真は、RealWear社様よりLinkedinに掲載されている内容をご提供いただいています。